Netflix and Chill vol.4 『心のカルテ』から見える家族という複雑な絆。解けた紐の向こう側にあるもの

CULTURE

こんにちは!nene編集部のmiyukiです。

Netflix観てる方ならきっと!チェックしているであろうSATC製作陣の超ヒットドラマ『エミリー、パリへ行く(Emily in Paris)』。
なんてったってファッション!そしてリリー・コリンズが可愛い〜!

んですが、いえいえ、彼女の魅力はそのドラマだけではないんです。

今回お届けするのは、リリー・コリンズの体を張った熱演が光る、メンタルヘルスの絡んだヒューマンドラマ映画『心のカルテ(2017 原題:To the Bone)』

拒食症というセンシティブなテーマをベースに、家族の複雑に絡み合った絆と、個性的な周囲の人々、その解けた先にあるものを見つめていく、美しい人生の映画です。

この映画の一番重要と言っても過言ではない”模擬授乳”シーンについても解説。
結構な数の映画を観てきましたが、個人的に映画史に残る名シーンの上位にのせたい。

あらすじ

あらすじ
20歳のエレンは長年拒食症を患い、とうとう大学を中退することに。あまりにも痩せ細り、医者からは「このままなら死ぬ」と宣告。それでも自分が健康的と信じていたが、妹のケリーの説得で施設でのグループ治療に参加する。そこには個性的な仲間がいた。かつて自分のメンタルからインスパイアされたアートにより自殺者を生み出した過去のあるエレンは、常に心を塞ぎ込んだまま。それぞれの苦しみが絡み合う中、変わっていく心。そして家族の複雑な問題に徐々に向き合っていくのだった…

拒食症というテーマは簡単な言葉でまとめることのできない、とても難しい問題です。

ただ”綺麗になりたい”という気持ちが病的に暴走してしまうような問題ではなく、その人自身の内に秘めておきたい過去やバックグラウンドが、根深く影響している場合も多いのだそう。

それって全ての人に多かれ少なかれ存在する闇でもあって、この映画は拒食症というベースはありながらも、誰しもが経験し得るであろう心のトラブルをとてもうまく描き出しています。

だからきっと、観る人全員が、さまざまな箇所で胸の奥を抉られていくのです。

主な登場人物

エレン(イーライ)
リリー・コリンズが熱演する主人公。
芸術肌で絵を描くのが好き、皮肉な言動で周囲を拒絶する内向的な彼女。
なんだかウィノナ・ライダー演じた『17歳のカルテ』に重なるものがあります。
拒食症の自身を表現したアート作品がネット上で話題を呼び、ファンの女の子が自殺するというショッキングな出来事を経験します。

ルーク
エレンが入所する施設でちょっとイラっとするくらい優等生でハイテンションな存在。
エレンに対する関心が大きく、実はアーティストとしてのエレンの大ファンだった。
ダンサーを目指していたが膝の損傷で引退を余儀なくされた過去あり。

ジュディ
エレンの母親。エレンが一歳半の時に女性と駆け落ち。
娘を愛する気持ちはあれど、実質娘を”捨てた”ことがずっと心に引っかかっている。

スーザン
エレンの義母。
的外れなことばかりでエレンと異母妹からは呆れられているが、治療の場にも姿を見せない実父とは違い血のつながらないエレンを一生懸命世話している。

ケリー
エレンの妹。拒食症のため死にそうな姉を心から心配しており、良き理解者でもある。

ベッカム医師
エレンを治療する医者。口数少なく飄々としながらも、患者への寄り添いを忘れない、心優しいドクター。

リリー・コリンズがすごい

役作りで大減量したのもすごいですが、リリー自身が拒食症の経験があるという衝撃の事実が。

そこから共感できた部分を投影した熱演は、おそらく精神を大きく削るものに違いなかったはず…それすらも演技に昇華できてしまうのは、まさに強さと才能!あっぱれすぎます。

最大の見どころである”模擬授乳”シーン

この映画の個人的名シーンが、エレンが実の母親に哺乳瓶で”授乳”してもらうところ。

エレンの心の問題が自分のせいではないか、幼少期の彼女に影響を与えたのではないか。そんな意識が捨てられない母親のジュディは、この”模擬授乳”という療法を試すことに。

なんとも謎な方法なのですが、なぜでしょう、赤ん坊とはとても言えない大きな体の少女が、弱々しく母親の腕に抱かれてミルクを飲ませてもらうその様は、小さな子供が満たされなかった母性を必死に取り戻している姿そのもので、涙なしには絶対に見られないのです。(特に家族関係にしこりのある方は相当刺さるわよ…)

ふっと張っていた気持ちが解けていった時、エレンの脳裏に見えるものは一体なんなのか?

疲れて荒んだ心を抱きしめてくれる

とにかく疲れている人には、睡眠・食事・そしてこの映画が効くことでしょう。

心配しないで欲しいのは、苦しい映画ではありますが、救いがないわけではないということ。

筆者もコンテンツで毎回長時間心を揺さぶられる情緒不安定女なのですが、この映画は絶望の映画ではなく明るい光を感じられます。だから怖がらないで観て欲しい!!

垣間見えるブラックな笑いや明るい演出が、センシティブなテーマながら最後まで観続ける手助けをしてくれます。

心が苦しい時は、悪い人が出ない映画を観ましょう。これにつきます。

原題のTo the Boneにちなんで、”骨の髄まで”温かさが染みる映画でございます。

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この記事を書いた人
miyukichan

フリーランスで働く2児のママ。
好きなものはホラー映画と海外ゴシップ。嫌いなものはきのこ全般。
期間限定に弱い。

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