Netflix and Chill vol.2 卑屈になってしまう全ての人に。『ダンプリン』はその辺の青春映画とは違うぞ

CULTURE

突然ですが、皆さんは米国の歌手ドリー・パートンをご存知ですか?
カントリーミュージックの第一人者で、全世界に熱狂的なファンを持ち、数々のヒットを生み出してきた彼女。そんな彼女の名曲に彩られながら、一人の女の子が自分自身を受け入れていく過程を瑞々しく描くミュージカル映画『ダンプリン』をご紹介します。どうせ泣くなら、あたたかい涙を流しましょ!

あらすじ
高校生のダンプリン(肉団子ちゃん)ことウィローディーンは、ミスコン優勝者の美人な母の元に生まれ、忙しい母に代わり、叔母に育てられました。自分のように太っていても美しく明るかった大好きな叔母は、去年亡くなってしまいます。彼女が教えてくれたドリー・パートンの音楽たちが心の拠り所。自信がなく卑屈になり、好きな男の子は拒絶してしまい、母との溝は深まる一方。叔母の遺品整理をしていると、彼女がミスコンに出ようとした過去が発覚します。叔母の気持ちと、ミスコンに熱心な母に反抗するため、親友のエレンを巻き込んで、半ば当てつけのようにウィローディーンもミスコンに出場することにするのでした…。

ちょっと待って!そこの「あぁはいはい、またボディポジティブをテーマにした今時映画ね〜」と画面を閉じようとしたアナタ!!

ダンプリンは…違うんですよ。もっとずっと複雑で、思春期の戸惑い、親との関係、かけがえのない人を失う悲しみ、ウィルだけじゃなくて、もっと別のベクトルではみ出しもののみんな…どんな体型でも美しいとか、ペラい話じゃないんです。

大筋は確かにありきたりなんですが、細かな演出やセリフが、様々な部分でなんだかとても特別な映画。観終わった後に心の奥がキュッとつままれて、痛くて温かくて、ずっとキラキラ弾けてくれるようなときめき…

そういうの求めてませんか?求めてますよね?今日も働きすぎてお疲れなそこのアナタ。(2回目)

そんなあなたにとにかく観て見てほしい…!

女の子が変わっていく映画はいつだって面白い

筆者、女の子が綺麗になっていく系の映画大好きなんですが、その理由って美しくなっていく過程がワクワクするんですよね。
プリティウーマンみたいに見てくれが洗練されたり、キューティーブロンドみたいに知性が磨かれたり、ミスコンものだったらデンジャラスビューティーで冴えない女の子がピカピカの美女になったり…

変身映画大好き〜

ダンプリンは、変身映画です。
でも、ウィルが痩せたり、髪の毛を切ったり、服を新調したりしません。
でも映画終盤のウィルのなんと美しいこと!表情、立ち振る舞い、全てがスーパーかわいい。
もちろん映画序盤からウィルは素敵でした。シニカルな言葉遣いも、心の中では気になってるけど、何にも気にしてないわよっていうツンデレなところも、誰にも見せない悲しみを持っているところも、色々不器用なのにバイトはうまく捌いちゃうところも可愛かった。でも…やっぱり自分自身を受け入れて、殻を破った女の子は無敵です。

キャスティングが最高

またキャスティングがとても良くて、特にダンプリンのお母さんのジェニファー・アニストンが最高。
叔母に自分の子供を任せきりなんて聞くと、うーん嫌な親だなって最初は思うのですが、映画が進むにつれて感情表現が下手くそで不器用なお母さんだったんだと気づかされていきます。
ミスコンに命を賭けている滑稽な姿も、ほろ苦いストーリーの中にコミカルな要素を与えてクスッと笑いを提供してくれます。
ミスコン仲間に自分の娘を堂々と紹介するところも、やっぱり愛を感じます。

さすが我らが『フレンズ』のレイチェル

大好きだった叔母、本当は甘えたかったであろう母親。ウィルだけではなく、素直になれないみんなが、正直な気持ちと向き合っていく…そんな姿を見て、心がこう、グッとね…掴まれちまうんですよ。

その他にも、はみ出しものの友人たちもスクリーンを温かく彩ってくれます。
特にほっこりさせてくれたのは友人のミリー。
ふくよかな体型に常に明るい笑顔と前向きな思考が魅力の女の子です。
『天使にラブソングを』のメアリー・パトリック(大柄なソプラノのシスター)みたいな、場をパッと明るくしてくれる太陽のような存在です。

彼女は元々素直で明るくて天真爛漫で、不器用な他のキャストたちとは違った空気感を纏っています。
なんだか鬱陶しくて、ちょっと面倒なくらい明るくて真っ直ぐ。周りから浮いていたように見える彼女ですが、物語が進むにつれて彼女の飾らない美しさと弾けるエネルギーが、実は正解なんだと思える。みんなが彼女のようになっていった気がします。

映画を彩る名曲とドラァグクイーン

そして何より、映画を彩るドリー・パートンの名曲たち。
ドリーのド派手な見た目と打って変わり、繊細で唯一無二の声と最高のメロディが全視聴者を虜にすること間違いなし!ゲイ・アイコンとして人気なのも頷けます…!
ミュージカル映画って突然歌い出すのがなんか苦手なんだよね…っていう方、ご心配なく!普通に口ずさむ感じで自然な挿入歌なので、違和感なく楽しむことができますよ。

映画を彩るドラァグクイーンたち

そしてドラァグクイーン様たちがいい。
ルポールのドラァグレースみたいな美しいクイーンがドリー・パートンとはなんぞや、ステージに立つとはなんぞやと言うのをレクチャーしてくれるのですが、その愛ある鞭がとっても素敵。
ステージに立つ姿は、ステージだけではなく、自分の生き様よ!といわんばかりの堂々としたクイーンたちを見ていると、殻を破れていない自分に気づかされます。
私も勝負の時の、赤いヒールを買っておかねば。(もう一人のゲイアイコン、ジュディ・ガーランドのドロシーみたいなね)

バイト先の恋。あまずっぺ〜!

恋に友情に、家族に、時々ドリー。
お疲れの頃にじわっと染み渡るあたたかいビタミン映画、ぜひチェックして見てください!

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この記事を書いた人
miyukichan

フリーランスで働く2児のママ。
好きなものはホラー映画と海外ゴシップ。嫌いなものはきのこ全般。
期間限定に弱い。

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nene(ネネ)
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