「あの人は恵まれているから……」華やかなセレブリティたちを見ていると、自分とは全くの別世界の人間に見える。
けれど、実はそんなことはなくて、セレブも私たちも1人の人間であることには変わりないのです。
日本では、およそ17人に1人が生涯のうちにうつ病にかかるといわれており、令和4年に厚労省が実施した労働安全衛生調査によるとメンタルヘルス不調による休業/退職した労働者がいた事業所の割合は16.5%にのぼると発表されていて、日本ではメンタルヘルスの重要性は年々増しています。
MS-JAPANプレスリリースより引用
メンタルヘルスの問題は、人によっては「口にするのが恥ずかしい」「タブーに感じる」という方もいるかもしれません。でも、決して珍しいことではなく、すべての人に起こりうるもの。
例えば季節の変わり目に風邪を引いてしまうように、心も弱ってしまうことがあるのです。
日本の芸能人でもメンタルヘルスについてオープンに公表する方はいますが、まだまだ少数。
実はアメリカのセレブリティは、日本よりもそういった内容をオープンにする傾向にあります。
かくいう筆者も、ふと心が弱ってしまった時に、なんとなく同じような芸能人はいないのかな?なんて検索して、「あぁ、この人も戦っていたんだ」と知ることで、1人じゃないという励みになったことがありました。
オープンに語るのは勇敢なことで、決して恥ずかしいことじゃない。影響力があるからこそ、メンタルヘルスについて語ってくれるセレブたちについて紹介したいと思います。
ケンダル・ジェンナー:不安障害、心気症
カーダシアン家の一員として、常にメディアに晒され続けているケンダル・ジェンナー。
モデル業も順調で、多忙を極めて世界を飛び回る彼女。プライベートは常にパパラッチに追いかけ回され、SNSでは何億人というユーザーからのコメントを受ける日々。
確かに彼女は裕福な家庭に生まれ、一見すると「恵まれている」のかもしれませんが、社会に晒されるセレブだって、それぞれの地獄というのがあるもの。
そんな彼女は、長年不安障害と戦い続けていることを公表しています。
「心臓が麻痺して息ができないと思う時がある」
「自分が死んでしまうと感じて怖くてたまらなくなる」
と、なんと10歳前後からパニック発作と付き合い続けているケンダル。
また、心気症があることも打ち明けており、ちょっとした体の不調を「大病なのではないか」とたまらなく不安に思うことがあるそう。
しかし、ケンダルはそんな神経質で敏感である自分の特徴をむしろ愛しているようです。
気持ちを理解してくれる人がいると、心がフッと軽くなると語るケンダル。
影響力のある彼女が公表してくれることで、同じように不安障害を抱える人への励みになっているはず。
セレーナ・ゴメス:双極性障害、不安障害、うつ
愛らしくて眩しい笑顔が魅力のセレーナ・ゴメスも、メンタルヘルスについて積極的に会話しているセレブの1人。
小役時代からエンタメ業界にいた彼女は、恋愛をパパラッチに追われ、難病を患い、ヘイターからの誹謗中傷にも耐え、さまざまなメンタルイシューを経験しています。
2016年に難病・全身性エリテマトーデスの治療の副作用によって、パニック発作やうつにより休養を発表したほか、双極性障害も公表。
そんな彼女は、自身でコスメブランドであるRare Beauty(レアビューティー)をプロデュースするほどのコスメ好きで、「自分を丁寧にメイクしてあげたりスキンケアをすること」が癒しの一つだとしています。
ボロボロのパジャマとボサボサの頭で塞ぎ込んでしまいがちな時も、少しだけ力を振り絞って“自分を大切にしてあげる”と、何か違ってくるかもしれませんね。(そしてそれができない時には、それを自責しないことも大事)
リリー・コリンズ:摂食障害
Netflixドラマ『エミリー、パリに行く』でもお馴染みのリリー・コリンズは、自身の自伝『Unfiltered : No Shame No Regrets, Just Me』で、摂食障害を公表しています。
また、Netflix映画『心のカルテ』ではそういった体験を踏まえて拒食症の女性を熱演。
「頭の中で常に声がして、それが私を縛り付けた」と回顧したリリーは、何年間もセラピーに通い続け、ようやく克服したそう。一度蝕まれ克服した摂食障害を、映画出演によって更に追体験することはきっと苦しかったに違いないのですが、自分を深く知り、受け入れたことができたリリーの「強さ」の表れではないでしょうか。
この映画、摂食障害を経験したことのある方も、そうでない方も、心を洗われる素敵な映画ですのでチェックして欲しい↓
ゼイン・マリク:摂食障害、不安障害
ワンダイレクションの元メンバーでもあるゼイン・マリクは、自伝本『Zayn(原題)』でグループ時代に摂食障害を抱えていたことを明らかにしています。
自分では気づいておらず、体重を気にするということもなかったようなのですが、ひどい時には2〜3日もの間食事を取れなかったゼイン。
ソロでパフォーマンスする際も発作に襲われ、やむを得ずイベントをキャンセルしたことも。
そんなゼインですが、自伝に書くことで自分自身の心と向き合っているほか、周囲のサポートにも支えられいるよう。
結婚や離婚、最近では1Dメンバーであるリアム・ペインの訃報もあり、心配な状況ですが、いつかその素敵な歌声や笑顔をまたたくさんみられる日が来てほしい!世界中のファンを癒してくれる素晴らしいアーティストです。
レディー・ガガ:PTSD、うつ
19歳頃、年上のプロデューサーから日常的にレイプをされ続け、以来PTSDで苦しんでいるというレディー・ガガ。
2017年には線維筋痛症を発症したことを公表し、その痛みからうつなどの精神症状を発症していたようです。
そんな暗い時期を過ごしていたガガですが、やはり出口となったのは創作活動。
「楽曲を通じて自分のストーリーを語れるようになった」と、克服していったそうです。
レディーガガといえば世界的ポップスター。大成功した彼女にそんな苦しみがあったなんてと、驚く人もいるかもしれません。大スターとしてのプレッシャーはもちろん、過去のトラウマは克服できるような体験ではなく、癒えない傷と向き合って、付き合っていくものかもしれません。
彼女の強さは、つけられた傷に苦しむのではなく、前を向いて生き続け、スターとして輝きながらファンたちに力を与えてくれるところかもしれません。
It’s okay to not be okay.(大丈夫じゃなくても大丈夫)
「大丈夫じゃない」と涙が出てしまうこと。それは隠さなければいけないことではありません。
心の苦しみ=弱さではなく、必死に生きている証拠。「大丈夫じゃない」でいることは、大丈夫なのです。
心の問題について語り合う強さを持って、ぜひこれをきっかけに身近な人と、自分の内側についてオープンに話し合ってみてはいかがでしょうか。